第110話

叶斗side




「朱羽、見つかったか」



「いえ…何も反応がありません」



「GPSは壊されてるな」



自室に戻るとそこにいるはずの千花の姿はなかった。



会社のブザーが鳴らなかったわけは客用から出たからだろう。



監視カメラを見ても行先はわからない。



「GPSが途切れている場所は特定しました」



「どこだ」



「恐らく、瑞世壮の家の近くかと…」



「またアイツかよ」



本当に嫌になるな。



「徹底的に探せ。必ずどこかにはいる」



「かしこまりました」






* * *






2日、3日とただ時間が過ぎていく。



壮の家の前まで見張っても千花が出てくる気配がない。



何処にいる…何してるんだ。



お願いだから、大人しく部屋にいてくれ…。



監禁したいわけじゃねぇんだよ。



本当は外に連れ出して、千花と一緒に楽しく生きていきたいんだ。



だけど、呑まれる大元の原因が消えねぇ限り、苦しむだろ。



だからこそ、千花の手で殺してもらわねぇといけねぇ。



早く見つけ出さねぇと本当に取り返しがつかなくなる。

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