第105話

家は…どこ?



早く帰らないと……。



また、また…殴られる、痛めつけられる。



早く……ハヤク、ハヤク…。



「よぉ千花…お前1人か?」



声のする方へ振り向く。



「…壮、?」



「ちょーどいいや。来い」



腕を思いっきり引っ張られ、そのまま着いて行った。






* * *






連れてこられたのは、何処かもわからない、倉庫みたいな部屋。



だけど、ソファと机がある。



座る壮に、佇む私。



「お前、あの男と寝た?」



あの男とは誰の事?叶斗?朱羽?



どこまで私のこと知ってるの?



「護衛してた奴だ」



「……寝るわけない」



「まぁそーだよなぁ?俺がいんのに他の奴と寝るとか有り得ねぇよな」



その言葉に思い当たる節があった。



焼印は壮が付けたもの。



汚い身体を見て、抱くやつなんて居ないよな…と言われている気分だ。



だけど、私は壮に抱かれたことなんてない。



それにキスもしたことがない。



付き合ってるって、彼氏だっていう肩書きだけで、実際には恋人がするようなことはした事ないし、DVされていただけ。



「お前俺のところに戻ってくるよなぁ?」



そう言いながら、前と変わらない凶悪な顔で近付いてきた。



「…」



「なんも言わねぇってことは肯定って事でいいよな?」



私の顔を乱暴に掴み、爪が頬に食い込む。



「また楽しもうぜ」

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