第101話

* * *






「千花、今日から仕事場へ連れて行く。わかったか?」



「………うん」



二度と馬鹿な真似はしないよう俺が見張らないと、出血多量で死ぬ可能性がある。



「……傍に、いる?」



「あぁ、会議とかは1人にさせるが、必ず戻る」



撫でていた手を振り払われた。



「千花」



名前を呼んでも目を合わせない。



「はぁ…」とため息一つつくと、それを勘違いしてか、肩が大きく揺れた。



「ごめん、なさい…我儘言ってごめんなさい」



もう一度触れようと伸ばした手は、拒まれた。



「怖い怖い怖い、やだやだ…」



「悪かった。怯えるな」



「何でそんな目で私を見るのっ?私、私……ッ」



堕ちるな…。



もうそれ以上堕ちて欲しくない。



戻って来れなくなるだろう…。



腕の中に収まるため、少しだけ力を込めて抱きしめる。



「ごめんなさいっ、嫌わないで…捨てないで……」



「………あぁ」






* * *






どこで間違えた。



戻れるなら堕ちる前…否、出会う前に戻りたい。



俺じゃもうお前を救えないのか…?

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