第97話

叶斗side




夜中目が覚め、隣で寝てる千花に目をやる。



本当は気付いてる。



足と腕には痣と傷がそこら中にある。



だけど、俺の前では何もないように、笑顔で振る舞う。



それを言って傷付けたくはないから、気付かない振りをする。



毎日毎日酷くなってる事くらいわかる。



自分から言った所で俺が千花を嫌うことはない。



何もしてやれない自分に嫌気がさす。



「…全て言えよ」



そんな言葉は届かず、「んん、」とくぐもった声を出し俺の服を無意識に掴む。



「愛してる、千花」



腕の中に抱きしめてまた眠りについた。

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