第83話

「昨日誰が来たか分かりました?」



「あー…まぁただのおっさん」



こいつに叶斗を言っても、何も得になることはない。



「えー、そんな〜」



なぜかガッカリしながら、テキパキと仕事をこなす。



「床に落ちてる花、片付けてもらってもいい?」



「は〜い…ってこれ、アイビーじゃないですか!?」



「アイビー?何それ」



「この花言葉知ってますか?」



「知らないけど」



「【永遠の愛】ですよ!これをおっさんが届けるなんて有り得ませんよ〜」



昨日そんな花持ってここに来たんだ……。



なんでそんなに私を愛してくれるの?



私は人から愛されるような、愛したいようなそんな女じゃない。



「…っく…ッ」



「え!?…え、と…ご、ごめんなさい」



突然泣き出した私にギョッとして、慌ててる。



「ここにティッシュ置いておくので…またお昼来ます!」



花瓶にアイビーを刺し、部屋を出ていった。



「ふっ……うぅ…」



もうこれ以上私に愛を与えないで。



本当に、本当に戻れなくなるの。



心を全て叶斗で埋めつくしてしまったら、叶斗がいなくなった時のことを考えると…胸が痛い。



最悪な場合を考えてしまう…。



撃たれたことがある以上、ずっと不安のまま生きていかなきゃいけない。



また撃たれるかもしれない、今度は死ぬかもしれない。



負の考えが止まらないの。



だから叶斗の手で終わらせて欲しいの。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る