第77話

「何があったか全て話せ」



俺の言葉にすぐ口を開かなかった。



「何を隠す。お前千花のこと叩いたろ」



「ッ…申し訳、ありません」



深々と頭を下げての謝罪。



「殺されたいのか?」



「殺されても文句は言えません…」



「俺の女なの分かってるよな?それでも手を出したんだ。千花は何を隠してる」



余程のことがない限り、朱羽が取り乱して俺の女に手を挙げることはない。



「話せよ」



「……自傷行為をされていました」



「リストカットか?」



「いえ、まだリストカットはされていません。ただ痣を作っていたことは確かです」



「ならなぜ外に出る。あいつは自分で言ったんだぞ、部屋にいるって」



オーバードーズをしているのはわかってはいるが、自傷行為までしてるとはな…。



「……剃刀を買ってこいと言われ、断ったら1人で出ていきました」



「1人での外出は許可してねぇ。なぜ出した」



「私では……千花様を止めることは不可能です」



「呑まれてたってのか」



「いえ、その様な感じではありません…」



「じゃあ、どんな状態なんだよ」



「説明ができません…叶斗様が傍にいて支えてあげてください」



「…分かんねぇよ」



頭を抱える。



何が千花をそうさせるのか…その原因を聞き出さねぇ限り自傷行為は止まらないだろう。



千花の事だ、不安や孤独がある可能性が高い。



「仕事は緊急なもの以外はお前がやれ。俺は明日から千花の元へ足を運ぶ」



「かしこまりました」

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