事故

第73話

* * *






「また仕事一緒に来るか?」



「部屋にいたい。傍にいても邪魔でしょ?叶斗の帰り待ってる」



「…そうか」



一緒にいたいけど、邪魔はしたくないの。



何か言いたげな顔をされたけど、こういうのは無理強いはしてこない。



「昼飯は一緒食おうな」



「…うん」



まだ1人前を食べれるわけじゃないけど、少しずつ戻ってきてる。



「千花、愛してる」



叶斗は必ずこれを言って仕事に行くようになった。



私の中に刻み込むように。



まだ伝えきれてないって言ったからか、叶斗の愛情表現が1つ増えた。



私もそれに応える。



「…うん、私も愛してる」



部屋を出ていく背中を…追いかけて止めたい。



本当は隣にいたい。



この気持ちを抑えているのは苦しい。



本当に叶斗の傍にいていいのかな?



「死ねたら…楽になる、よね?」



呑まれる以前に、無理だったみたい。



薬はまだ止められないのに、ある事が再発した。



右手を拳にして、太ももへ振り下ろす。



何度も何度も、色が変わるまで…。



そこへ、朱羽が部屋に入ってきた。



「千花様…何をしてらっしゃるの、ですか?」



私の足を見てか、私の元へ来て有り得ないことをされた。



「…っ!?」



何が起こったか分からなかった。



「自分で自分を傷つけないでください!!」



頬を叩かれ、驚く。



その後、自分が何したか気付いたらしく、謝られた。



「申し訳ありません……いきなり叩いてしまって、」



「朱羽も………叶斗と、一緒なの?」



「…」



「私……朱羽にも迷惑…かけてるんだよ?なんでそんな、生きていて欲しいみたいな行動するの、?」



2人が私を必要とする理由がわからない。



愛してるから、叶斗の女だから…それだけの理由で私に生きていて欲しいの?

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