第69話

カチャ…と扉が開く音がして駆け寄る。



「叶斗、おかえり」



「あぁ、ただいま」



「今日は何食べるの?」



「中華だ」



「そっかぁ、麻婆豆腐とか?」



「そんなとこだ」



いつも通りソファーに座って、叶斗の着替えを待つため背を向けたら腕を掴まれた。



「叶斗?着替えは?」



無言で頬を撫でてくる。



「ん?叶斗?」



「お前……寝てるか?」



「なんで?」



「隈…酷くなってんぞ」



目頭から優しくなぞられ、言われた。



「仕事中は寝てない…かな。夜は叶斗と一緒に寝てるし、眠くなくて……」



「そうか……疲れてるか?」



「ううん、大丈夫だよ。それ言うなら叶斗の方が疲れてないの?この前みたいに倒れたら、嫌だ」



「俺はもう倒れねぇよ」



「うん、そうして」



私にキスを落とし、着替えに向かう。



もしかして、バレてるの?



朱羽が告げ口した?



叶斗の様子が朝と違う。



「千花ー、お前も食うか?」



「うーん、吐いてもいいなら食う」



「早く食えよ」



そんなことを考えても私はわからない。



呼ばれてるため、叶斗の膝上に座り、ご飯を食べる。

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