第68話
「千花、飯克服しねぇか?」
「…必要ない」
「俺と美味いもん食えねぇだろ?」
「叶斗だけ食べればいいじゃん」
未だに吐くことがある為、普通の食事は出来ていない。
「千花と一緒に食べたいんだよ、な?少しずつでいいから食べようぜ」
「……いらない」
「そこまで言うなら仕方ないけど、身体大丈夫なのか?」
「じゃなかったら死んでるから」
「ま、それもそうか。今日も大人しくしてろよ、行ってくる」
「行ってらっしゃい、叶斗」
笑顔で見送る。
元の生活に戻り、何事もなく過ごす。
外には出ず、叶斗の帰りを待つ。
体力は落ち、外からの刺激に弱くなっている。
叶斗と朱羽以外の奴らとすれ違うだけで、疲れる。
「朱羽、頂戴」
「…程々にお願いします」
机に置かれる【ある物】。
叶斗にはまだ隠してる。
「あーん」と、水と一緒に飲む。
何個も何個も手に取り、満足するまで飲み込む。
「……千花様、それ以上は、」
「………何?」
「…身体に害を与えてしまうので………」
「でもさ、私が言えば出してくるのは朱羽だよね?心配するなら出さなければ?」
「そう、ですね……申し訳ありません」
私の身体は欲してるの。
叶斗がいない時間はこうして何個も飲む。
身体に悪いことは分かってるけど、止められないの。
今まで通り、普通の私を叶斗に見せないと……ワガママ言ったら捨てられるかもしれないから。
これがバレてはいけない。
バレたら叶斗は怒る。
確実に怒るのは想像出来る。
だからこそ、隠し通さないと…。
精神が不安定なのは元からだけど、壊されてる今は何かに縋らないと暴走する。
叶斗に縋る方が叶斗は嬉しいかもしれないと思う時もあるけど…だけど、ウザがられたらそれこそ終わりだ。
だからこそ、やっぱり私は『私』を演じていた方が楽なのだ。
「朱羽、もう要らない」
「……はい」
受け取り、部屋を出ていく。
1人になった部屋で私は呟く。
「……もう………シニタイナ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます