第66話

数分後、朱羽が部屋に入ってきた。



「千花様、足は大丈夫でしたか?」



「………ぅん……大、丈夫」



「!?……声が、治られたのですか?」



「……そうみたい」



私の声は治った。



さっきは喋れなかったのにな…。



声を出したくても出せないし、めんどくさい病気よね。



「叶斗様の容態は…」



「…大丈夫なんじゃないかな?今は眠ってるよ」



「そうですか……千花様、食事はどうしますか?」



「多分喉通んないし…起きたら同じ感じで出して」



「かしこまりました」



私も眠りについた。






* * *







叶斗が倒れた事が良かった事なのか、私の声は戻った。



言葉、行動1つで私は心が変わる。



叶斗から離れたくなるし、離れたくなくなる…。



だけど、私を必ずその目に映してくれる。



どんな姿でも、どんな状態でも私を見てくれる。



『私』を見てくれるの…。



もう映してもらえない姿に……私の生きる意味は何?



私の存在理由を教えて………。

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