第61話

毎日おでこにキスを落とし、仕事に行く叶斗。



無反応な私に構わずしてくる。



「千花、今日も行ってくる。大人しく待ってろよ」



チュッと音を立てる。



私の状態は酷い。



食いもんが喉を通らなく、何か口に含めば吐く。



何とかして私に食事させたい朱羽の気持ちも分かる。



三食、って言っても薬に栄養がある飲みもん。



だけど、やっぱりほとんど戻すから体には入っていない。



ベッドに座り、布団を被る。



「千花様、本日分です」



声も未だに治らない。



もう精神的なものだと思う。



義務のように手に取る薬。



飲みたいのに、飲めない。



「……ッ」



苦しい、苦しい…。



口に含んで吐くだけでも体力が奪われる。



トイレに駆け込む気力もないため、用意されてるバケツに吐く。



優しく背中をさすられる。



「千花様…」



朱羽の声も段々届かない。



頭が朦朧とする。



「お休みになられますか?」



私は体力が持たなく、朱羽に身体を預けて眠った。

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