第48話

千花side




眠い目を擦り、辺りを見渡す。



「叶斗………」



呼んでも来ない。



重い足を動かし、扉に手をかける。



開か…ない?



ガチャガチャと何度もドアノブを動かしても開かない。



「朱羽、?そこに居るの?」



声を掛けても返事がない。



何で?



私、閉じ込められるようなことしてないよ?



叶斗探さないと…。



出られる場所は1つ、窓だ。



飛び降りれるのか不安だったが、叶斗を探したい一心で外へ出る。



ダン!っと着地するも、姿勢が悪く足が曲がる。



「いっ!?」



だけど痛みなんてその時だけ。



外は明るいが、時間は分からない。



早く、叶斗の元へ行かなきゃ……。






* * *






向かったのは会社。



ここに来るまですれ違う周りの人は私を見る。



今が昼間なんだと分かる。



客用から入っても叶斗に会えるはずはない。



裏口もいつも寝てるから場所が分からない。



だからといって、社員の所からもブザーがなる。



ビルの前で立ち尽くす。



「どこに…いるのっ」



ねぇ、独りにしないでよ。

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