第44話

「叶斗……ごめん」



「何が?」



「…仕事」



「別に関係ねぇよ。千花より優先する事なんてねぇし。まぁ、出張とかなら仕方ないかもしれねぇが、帰ったらたっぷり甘やかすしな」



「…うん」



何でこんなに優しいの?



私を優先する意味は何?



我儘で自分勝手なのに、何で嫌わないの?捨てないの?



叶斗の優しさに甘えてる自覚はある。



「千花?」



私が気付いてないだけなのかな?



捨てられない理由があるとか、今更捨てて自分の事をサツに話されるのが嫌だとか?



叶斗は本当に私が好きなの?



あの日拾ったから、仕方なく傍にいさせてくれてるの?



「ひっく…っ…うっ」



泣き出した私を優しく抱きしめる。



「どうした?」



「私っ……」



「ん?」



「叶斗に、たくさん…我儘っ、言ってる」



「あぁ」



「だから…私のこと、っ、嫌いなんじゃ…ないかって…。私が、気付いてないだけで…ほんと、は…捨てたいんじゃないかって」



「……怖いか?」



「うんっ………叶斗が、好きっ、だから…捨てられるのが怖い…」



「そうか…」



泣き続ける私に叶斗が謝った。



「ごめんな」



謝られたことで私は叶斗に必要ないのだと思った。



しかし、叶斗は続けてすぐ言った。



「俺の愛、そんなに伝わってなかったのか?」



悲しげな顔をされた。



「俺が今仕事休んだのも、我儘聞いてんのも、キスすんのも千花が好きだからだ。可愛い恋人の願いとなりゃあ、そんくらいするっつの。それは俺なりの愛情表現だ」



「…でも、私は…可愛くないし、馬鹿だし、自分勝手だし……いい所なんて1つもない。他の人の方がよっぽど叶斗に似合うよ…」



前にキスした女だって、会社の人だって…私より可愛い人や美人な人はたくさん周りにいる。



「けど、それは千花の考えだろ?俺は俺が決める。千花のいい所なんて俺だけ知ってればいいんだよ」



両手で目から溢れ出る涙を拭われる。



「俺には千花が必要なんだよ。他のやつなんて興味ねぇ。そんなに不安なら俺がどれだけ愛してるか、身体に教え込んでやるよ」






* * *






「やっ、ぁ…叶斗っ……」



「身体が覚えるまで…やめねぇつの…しっかり俺を刻めっ」



そう言い、ズン!と深く腰を打ち付ける。



「んんっ…ぁっ、…ああぁっ!」



チカチカと目の前に火花が飛ぶ。



「はっ、まだ…飛ぶなよっ」



それから散々イかされ、身体中に赤い花が散っていた。

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