第43話

店を出て、車に乗る。



「ねぇ叶斗、夜仕事から帰って疲れてなかったら、コンビニ行かない?」



「何買うんだよ。今でもいいだろ?」



「んー、理由ないけど夜に行きたいから?」



「まぁいいけど」



「ありがとう!朱羽も何欲しいか考えといてね!」



「お気持ちありがとうございます」



絶対に要らない返事だな。



てか、朱羽に聞いても「お気持ち」って言葉が返ってくるから何も買えない。



私の金じゃないけど、朱羽にも買いたいのに…。



「朱羽に何買うんだよ」



「えっとねー、チョコとか?」



朱羽の好きな物、分からない。



「だとよ、朱羽」



「私の分は大丈夫ですので…」



何で?



私の事嫌いなの?



「そんなに要らない?聞いてもお気持ちお気持ちって何でそういうの?私の金じゃないけど、いつも断られるし、私から貰うのが嫌ならはっきり言って欲しい……」



「…嫌というわけではなく、お気持ちだけで私は十分なのです」



「ふーん、ならもう朱羽に買わないし、欲しいものも聞かない」



「嫌とは言ってねぇじゃん、不貞腐れんなって」



口を尖らせ、ブスくれる私を宥める。



「……叶斗も嫌い」



「俺は愛してる」



「……うん、ありがとう」



「言わねぇの?」



「…愛してる」



「ははっ、朱羽より俺の事考えろよ」



「…今は嫌いだもん」



私の機嫌は直らない。



そう言ってるうちに家に着く。



私と朱羽を降ろし、叶斗は言う。



「このまま仕事行ってくる。夜出歩くんだから暖かい格好しとけよ」



「…」



「千花、こっち向け」



「…やだ」



「んだよ…仕事に行かなきゃ機嫌直るか?」



「……うん、一緒いたい」



「なら行かねぇよ、早く家入ろうぜ」



「……それもやだ。仕事は…して欲しい」



「我儘だな。で、結局どっちだ?行って欲しいのか、欲しくないのか」



「…っ……我儘な私は…嫌い?捨てるの?」



じわっと涙が出る。



「んな事言ってねぇよ」



泣きそうな私に困り顔で言う叶斗。



「仕事行かねぇから機嫌直せ、な?」



私は迷惑かけてる。



叶斗は仕事行かなきゃいけないのに…。



「車停めてくるから部屋で待ってろ、わかったか?」



「……うんっ」






* * *






我儘言ってごめん。



子供な私は、叶斗の仕事に迷惑をかけてる。



自分では分かってても、抑えられない。





我儘言わないから、叶斗を



カエシテ………………。

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