第41話

「叶斗様、千花様、お食事届きましたのでこちらに置いておきます」



「ありがと、朱羽」



届いた袋を開ける。



叶斗はさっきの資料に目を通してるから、先に食べる。



「頂きます」



パク、と1口。



美味しい…。



やっぱりお肉は最高だよね。



モグモグ口を動かしながら叶斗を見つめる。



様になってるなー。



じーっと見つめてるとペンを置き、立ち上がった。



「終わった?」



「あぁ。俺も飯食うわ」



こちらに歩いてくる叶斗が壮と重なった。



怒られるの?



殴られるの?



私また悪いことしたの?



ぐるぐる頭の中で色んな負の思考が巡ってくる。



「千花?」



名前を呼ばれてハッとする。



「え、あ…何?」



「飯袋から出してくれるか?って聞いたんだけど」



「ごめんねっ!今出すね」



私の変化には気付いているはずだか何も言わない。



最近はそこまで呑まれることはなく、身体が拒絶反応を見せることもない。



叶斗に名前を呼ばれるだけでちゃんと戻って来ることが出来る。



「叶斗、この肉ね、すごく美味しいの!」



「そうか」



撫でる手が優しい。



「早く叶斗も食べてよ!」



「食わせてくれるか?」



「もちろん!」



口に運び感想を待つ。



「美味いな」



「でしょ!」



こんな何気ない事が幸せ。



2人で笑っていればどんな事も幸せ…。



それなのに……。






* * *






私は幸せ過ぎた…。



この幸せはずっと続くものではないことを知らない私に、あの現実は辛すぎたんだ…。



色のない世界で生きてくのはとても辛い…。

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