第40話

「千花様、体調は大丈夫ですか?」



「ん?大丈夫だよ」



お腹から命が消え、心が軽くなった。



不謹慎極まりないけど、やっぱり私に子供は無理だ。



元々子供は嫌いなんだよ。



そんなのを自分が育てるとか考えたくない。



「叶斗、会社にいるんだよね?」



「はい」



「会いたいから会社行こ!」




車に乗り、眠ってる間に着いた。



「あれ?ここいつもの場所じゃなくない?」



「叶斗様は基本裏口から出入りしてますので、表は滅多に来ません」



「そーなんだ」



早く会いたくてビル内に1人で駆け込む。



「千花様!私から離れないでください!」



朱羽の声も遅く、私は入った。



セキュリティのブザーがうるさく鳴る。



「貴方ここの社員ではありませんね、お客様口は向こうです」



「こちらは私が叶斗様から許可を得てます」



「朱羽さん、社長に本日の予定で客人などいませんよ?」



「先程貰いました」



「わかりました。どうぞ」



なぜ社員じゃないと止められるのか、私の疑問に朱羽は察したらしく答えてくれた。



「全員社員証の中にチップが入っていまして、それがないとここから入れないのです。お客様として来られる場合はあちらから入らなければいけません」



「だからいつも裏から入ってたの?」



「それもありますし、やはり他の方に千花様の存在を知られたくないのが1番だと思います」



「でも私叶斗の部屋には何度も入ってるし、社員とも顔を合わせてるよ?」



「えぇ、叶斗様の傍なら何も言われませんからね」



エレベーターに乗り、叶斗の部屋へ。



ガチャと扉を開けると取り込み中だった。



「あ?ノックしろ」



「……ごめん」



「千花か…ならいい。来い」



呼ばれて叶斗の元へ向かう。



「えっと……社長?」



「邪魔だ」



「その資料今日までなんすけど」



「だから何だよ。時間はまだあるだろ?千花との時間を邪魔すんなっつってんだよ」



「…失礼、しました」



パタンと扉が閉まった。



「いいの?」



仕事の邪魔をしたい訳じゃないから、やってもいいのに…。



「…千花の方が優先順位高ぇし、今日中に終わらせるから心配ねぇよ」



「そっか」



堕ろしたことに対して、何も聞いてこない。



それは私が子供を嫌ってるからなのか、自分も触れたくないのか…どっちにしろ【子供】の存在が邪魔なのは分かる。



「飯食ったか?」



「まだだよ。出かける?」



「いいや、出前でいいか?」



「うん!私決めていい?」



「あぁ。俺にも同じやつ頼んどけ」

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