第29話
「千花…帰るぞ」
「…うん」
昨日朱羽に『自分ではなく、叶斗様の言葉だけ聞いてください』って言われたから私はその通りにした。
家に帰るまで繋がれた手は少し痛かった。
「…朱羽から全て聞いてるのか?俺たちのこと」
「うん」
「それでもお前は朱羽の方がいいのか?」
「朱羽は…優しい、から」
「優しい男なら誰でもいいのかよ…」
「違うけど…」
「へぇー。違うなら朱羽がいい理由言えよ」
「……怒っ、てるの?」
「関係ねぇだろ。答えろ」
「朱羽は傍にいて…私と話をしてくれた、から」
「はぁ……俺らの話聞いてんならわかってんだろ?」
溜息をつき、叶斗から感じる圧が怖くて顔が見れない。
声色で怒ってるのがわかる。
「なぁ、千花。どうしたら思い出す?また監禁でもするか?」
『また』という言葉に引っかかった。
私、前に監禁されてるの?
そんな話朱羽から聞いてない。
顎を持たれ、強引に視線を合わせられる。
「俺の傍にいんなら監禁はしねぇ」
ここは叶斗のそばに居るのがいい。
朱羽も言ってた。
「傍にいるから、監禁は…しないで」
「そうこなきゃな」
なぜか怪しく笑った。
「明日から俺が行く場所全て連れてく。異論は認めねぇからな」
「…うん」
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