第25話

旅行が終わり、叶斗は仕事に戻る。



だけど、これからは違った。



私はどこへ行くにも連れていかれるようになった。



社長の時は基本自室にこもりっぱなしみたいだけど、夜はそうもいかない。



トップな為、仕切りは叶斗。



ほぼ叶斗の指示なくして動かない。



なら行かない日はどうやって動いてたんだ?



「お前らに紹介すんのは俺の女、千花だ。護衛は朱羽だけにさせてるが、何かあったらこいつのことは守れ」



叶斗の言葉からか、他の奴らはヒソヒソと話し出した。



「…っ、叶斗…私っ」



「てめぇら、こいつをそういう目で見てんなら抜けろ」



バッと一瞬にして視界が暗くなった。



叶斗の手によって視界をさえぎられた。



「汚ぇもん見てるみてーにこいつを見んならさっさと組抜けろっつの。俺が生涯愛す女なんだよ」



声の低さに皆息を飲んだ。



無言で腕を引っ張られ、叶斗専用の部屋に連れられた。






* * *






部屋には普通に生活できる程全て揃えてあった。



「チッ…」



ドガッと叶斗はソファーに座り、煙草をつけた。



私はドアの前で立ってる。



裏の顔を見るのは初めててどうしていいかわからない。



不穏な空気が流れる。



居た堪れない空気で、私じゃどうもできない…。



「千花、来い」



呼ばれたため傍に行く。



隣に座ると違うと言われた。



「跨いで座れ」



言葉の通り跨ぎ、腿の上に座る。



そしたら私の首元に顔を埋め、ガリッと音が聞こえそうなくらい強く噛まれた。



「いっ…たい」



ジュルっと音がして、血を吸われた。



血吸いが終わったのか、叶斗は聞いてきた。



「…本当に俺でよかったのか?」



表情は監禁してきた時に見た表情と同じ、悲しそうな顔をしてた。



「まだ、不安?」



「…別に不安じゃねぇけど、俺よりもいい男いるだろ。束縛も監禁もしねぇような優しい男…」



「私が離れてもいいの?」



「いい訳ねぇよ…」



視線を逸らされ、私に頭を預けてくる。



「大丈夫だよ、叶斗以外からの愛なんていらないから」



子どもをあやす様に撫でる。



「愛してるよ、叶斗」



「…俺も、愛してる」

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