支配

第26話

* * *






「失礼します、社長。資料置いておくので確認お願いします」



「………あぁ」



私を後ろから抱きしめながら、机に広がる資料を手際よく終わらせていく。



仕事中でも私といるため、邪魔されると不機嫌になる。



「千花、資料取りに行ってくっから少し待っててくれ」



「うん」



頭を撫でられ、椅子に座り直す。



見慣れた光景で、朱羽は私を見張ってる。



クルクル椅子で遊んでいると、また声が聞こえた。



『俺がいない間、楽しかったか?』



「いやぁぁぁああ!!!」



突然叫び出し椅子から崩れ落ちた私に、すぐさま朱羽が駆けつける。



「千花様!?どうされましたか?」



「いや、いや…」



社長室は防音のため私の悲鳴は外に聞こえない。



「叶斗様お呼びしますので、少しお待ちください」



1人取り残されうずくまる。



1人でいる恐怖がどれほどか…。



バンッ!と勢いよく扉が開き、叶斗が来る。



「千花に何があった」



「私には全く…突然の事で」



「そうか…千花、大丈夫だからな」



抱き寄せようとした腕を拒んだ。



「千花っ…」



「嫌だ!!来るな!!!近寄るな!!!!」



「待て!千花!」



ハヤクニゲナイト…。



部屋を出た先に何人かいた。



ドン!ドン!と身体がぶつかっても私はお構い無し。



必死で逃げてると、片足が地面につかなかった。



ぇ…落ち…る。



「…うっ、ぁ……っ」



バランスを崩し、階段から落ちた私に周りが悲鳴を上げる。



意識が遠のく中、名前が呼ばれる。



「千花!」



頭を強く打った衝撃で、私は記憶が少し戻ってしまった。



「そ、う…?私が…死んで、嬉しい?もう……あんたの暴力に……耐えなく、て…済むから、私は…嬉し、い…」



ヤット…シネル……。



「お前を…ずっ、と……恨む、から……な」



次に気付いた時は病院だった。

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