第23話

叶斗side




「風呂、入ってこいよ」



風邪なんて引かれたら心配だからな。



「…わかった」



風呂場に行ったのを見届け、ソファーに腰掛ける。



さっきの千花の様子、おかしかったな。



なぜ雨の中、海に行きたがったのか…。



それに、『死にたい』と口にした。



その時の表情は染まった時とは違う、何かに支配されているような…。



千花の口から過去の話は聞かねぇが、何かありそうなのは間違いねぇ。



抱くと決めた夜、背中に何ヶ所も焼印があった。



大きいものから小さいものまで。



跡があるなら言うだろうと思ったが、それについて千花からは何も説明がなかった。



幸いにも腹や足には付いていない。



背中だけなのが余計に気味が悪い。



見えないから付けたとしか思えねぇ。



今はもう刺青が入ってっから目立たねぇけど、跡からして相当な痛みを患っただろうに…。



風呂から出てきたら少し様子を見るか…。



上がるのを待ってると突然「いやぁぁぁ!!!」と、悲鳴が聞こえた。



急いで駆けつける。



「どうした!?」



声をかけても頭を抱え、嫌だ嫌だと首を振る。



「千花!聞こえるか!?」



「はっ、はっ、はっ」



過呼吸を起こし始めたため、落ち着かせる。



「………か……な、と…?…た、す……け…て」



そう言って気を失ってしまった。



その言葉の意味は俺はわからなかった。

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