記憶

監禁

第19話

千花side




次の日から監禁生活が始まった。



だけどお互いほぼ喋らない。



食事は出されても一緒に食べてくれない。



ずっと私を無言で見つめてる。



お風呂も一緒に入りもせず、見てる。



正直怖い。



無言で抱きしめて、髪に指を通して、頬や口にキスをする。



私はどうしたらいいのかわからず、されるがまま。



朱羽に助けを呼びたかった。



叶斗が何考えてるか分からない。



私をものとしか見ていないのかもしれない。



ただ自分の操り人形。



最初に口を開いたのは私だった。



「か、なと、?」



「んー?」



「私…」



そこで言うのを止めた。



何を言ってもダメだろう。



「何でもない、」



やめて欲しい。



私を見て欲しい。



私はどこにも行かないから。



そんな声は今の叶斗には届かない。






* * *






私を監禁することで私の中の消えていた【ある記憶】が蘇ってきた。



それが後に私の心を支配していく。



今はその時じゃない。

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