第10話

* * *




「お待ちしておりました、亜御那様」



結局私が希望したのは海の見える沖縄のホテル。



冬で寒いけど、人がいないからのんびりできる。



休みも3日取ってもらった。



「最上階は亜御那様だけとなっております。1部屋のみです。後ほどお食事をお持ちします。ごゆっくりどうぞ」



予約してくれたホテルは高級ホテル。



「叶斗!ここ凄い!」



キャッキャとはしゃぐ私に叶斗も笑ってくれる。



窓辺に行き、外を見ると海が広がってる。



長く外を見てたせいか、後ろから抱きしめられた。



頭を撫でられたが、無言だった。



「叶斗?」



「…」



こちらからは表情が見えない。



「大丈夫?」



「…なぁ、千花……」



叶斗が口を開いた時、ノックが聞こえた。



「…入れ」



「失礼します」



持ってきた食事はテーブルに綺麗に並べられ、どれも美味しそう。



それなのに、叶斗からのオーラは負しか伝わってこない。



それに呑まれて、私までおかしくなる。



元々持ってる黒い影が出てくる。



あぁ、私がいけないんだ。私が叶斗の傍にいるから…。



ステル?ステラレルノ?

ネェカナト、ワタシヲステナイデ…?



「千花、?」



叶斗が呼んだ声は届かない。



「千花!おい、千花!!」



身体を揺さぶられ気付く。



「っ…ごめん、叶斗。私にはやっぱり合わない…。金全て返すから私のこと捨っ…」



そこで私の口は塞がれた。



「んっ!?……はぁっ、ぁっ」



頭を掴まれ、舌を入れられて、逃げ場がない。



「その先は言うなっ」



「なんでよ!?私何かした?」



訳もわからずキスされて胸ぐらを掴んだ。



「なに…考えてるの」



叶斗は泣きそうな顔をしてた。



「………なんだよ」



「…なに」



「不安、なんだよ…」



「なんで…?」



掴んでた手を離した。



「俺から、離れるんじゃないかって…。俺だけを見て、俺だけを感じて欲しい。千花の目に映るもんは全て俺でありたい。…はっ、独占欲強すぎて笑うだろ?」



私の肩に顔を埋めてきた。



独占欲なんてわからない。



私を独占して何になるの?



「男が不安とかダセェだろ?けど千花への感情は自分でも分かんねぇくらい異常なんだよ。朱羽に任せてるけど、部屋に2人きりとか、話してんのでさえ嫌なんだよ」



黙って聞いてることしかできない。



「千花はそんな事しねぇって、俺の傍にいんのに…。それでも無理なんだよ」



「不安にさせて…ごめん」



やっと出た言葉は叶斗への謝罪だった。



「…早く俺のモンにしてぇ」



「どういうっ…」



「抱かせろ」



「っ!?」



動揺が隠せない。



「優しくする」

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