第3話
「千花様、こちらにバスタオルとバスローブ置いておきますね。何かご用がございましたらお呼びください」
「あ、あのっ…」
「はい」
私が何されるかこの人に聞いても分からないだろう。
「いえ、ごめんなさい…」
「大丈夫ですよ。私は
パタンと扉が閉まった。私は静かに浴室の戸を開けて覗いた。
「ぇ…まじかよ…」
そこには薔薇で覆われた大きなお風呂があった。
変な人に付いてきちゃったな。薔薇風呂かよ。
ちゃぷん、と湯船に浸かると風呂は丁度いい温度でこのままここで寝れると思ったが、寝たら何される分からない。
怖いから雨に濡れた身体を綺麗にしてお風呂を出た。
「お湯加減はいかかでしたか?」
「はい、大丈夫でした」
「千花様、私に敬語は使わなくて大丈夫ですよ」
「そう、なの?」
「はい」
「…わかった」
「ありがとうございます」
優しく微笑んでくれた。
「叶斗様、お戻りです」
「千花、おいで」
ポンポンとソファーを叩いて私を呼んだ。
逆らえば変なことをされると思って静かに隣に座った。
「ん、いい子」
いつの間にか朱羽はいなくなってた。
「髪、乾かさないなら俺が乾かすよ」
「いい。乾かすの嫌いなんだよ」
「風邪引くっつの」
「やめて!」
頭にあった男の手を振り払った。
「悪ぃ、そんなに触られるの嫌だったか?」
「うん。嫌」
「そっか、ごめんな…。髪乾かさなくていいからベッドで寝ろよ」
そう言いながら男はベッドの方へ歩いていった。
ベッドって、この部屋1つしかないよ?
まさか一緒に寝るのか?
「俺と一緒は嫌か?」
「嫌。何もしねぇよな?」
「するわけねぇよ。先にベッドに入ってっから好きな時に寝ろよ」
そう言って寝てしまった。
男の言葉を聞かず、私は眠気に勝てなくてソファーで寝てしまった。
* * *
ねぇ、叶斗…なんで私を拾ったの?
あの時、雨の中私が歩いてなかったら、今もどこかでお互い暮らしていたかな?
偶然か必然か…。
運命に逆らえるほど人は出来ていない。
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