第2話
「おい、着いたぞ。降りろよ」
そう言われて降りたかったけど中々降りることができなかった。
何故なら目の前に城が広がってたから。
ここ家なの?デカすぎ。
ガチャと私の方のドアが開いた。
「ほら、降りろ」
差し伸べられた手を私は振り払った。
さっき会ったばかりの男の手なんて触りたくない。
「行くぞ」
私が手を振り払ったことを男は気にせずスタスタ歩いていってしまった。
私は静かに男の後ろを歩いた。
「お帰りなさいませ、叶斗様」
何十人といる使いみたいな人達が一斉に男の帰宅に声をかけた。
なんだよコイツ。どっかのお坊っちゃんかよ。
「コイツにタオル渡せ。あと風呂溜めろ」
「かしこまりました」
男が言うとすぐにタオルが渡された。
「部屋行くぞ」
城ってか家の中はすごかった。
目の前には大きな時計。
横に階段がある。
こんなの本やアニメの世界でしか聞いたことない。
実際にこんな家あるんだなあ…と思いながら男について行った。
「風呂が溜まるまで適当に座っとけ」
私が座ったのは真ん中にある1番大きなソファーの端。
「俺が怖いか?」
言いながら隣に座ってきた。
それも大きいソファーの端に座ってるのに私の隣ピッタリと。
何かされると思って身体を端に寄せた。
これ以上端になんていけないのに。
「俺は
「…」
答えない私に痺れを切らしたのか、顎に手を当てられて、男の方を向かされた。
「何もしねぇって言ったじゃん。それともこのまま何かして欲しいか?」
ニヤッと笑った。
何かされる。
直感でそう思ったから仕方なく答えた。
「
「千本の花…か。お前にピッタリな名前だな」
なにも千本の花なんて言ってねぇけど、と思ったけど何も言わなかった。
それに私にピッタリな名前って初めて言われた。
この男、よく分かんない。
コンコンと扉がノックされ、人が入ってきた。
「叶斗様、お風呂の準備整いました」
「あぁ。千花、入ってこい。朱羽についてけ」
「お名前を伺ってもよろしいですか?」
この人はなぜか信用できた。
少なくともあの男よりもマシだ。
「美南千花、です」
「千花様ですね。では、こちらへ」
後ろで「なんで朱羽にはすぐ名前言うんだよー。俺に言わねぇくせに」なんて聞こえた。
その声に反応することもなく、前にいる男の人に付いて行った。
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