出逢い
雨
第1話
千花side
ザァー……。
外は大雨だった。
足音は消され、夜中だというのにすれ違う人は多く、皆変な目で見てくる。
それはそうか…。
雨の中傘をささずに歩ってる。
このまま車に轢かれて死のうかな…と思ってると1台の車が私の隣に止まった。
「おい、何してんだ?」
自分ではないと思い、無視した。
「なぁ、あんたに言ってんの。なんで雨の中傘もささずに歩いてんだって」
その声にも反応しなかった。
言葉からして私のことを言ってるのはわかったけど関わりたいとは思わなかったから無視した。
それなのに…
「俺の声聞こえてる?それともお前…死にたいわけ?」
『死にたい』の言葉に足を一瞬止めた。
…が顔を見ることはせず止めた足を進めた。
「風邪引くから車乗れよ」
「ウザい。話しかけないで」
そんな事言ってもゆっくりと車は付いてきて声をかけ続けてくる。
「っ…。はは、聞こえてんじゃん、よかった」
男は一瞬驚いた顔をしたが、元に戻った。
何を驚くのだろう、私は何もしてない。
「なぁ」
そう言いながら車から出てきた。
「その命要らねぇなら俺にくれね?」
傘に2人。私は見上げる形となった。
「俺の死にたいって言葉に足止めたよな?なら俺がその命貰ってもよくね?どうなんだよ」
「…そうかもね」
「そうと決まれば早く乗れよ、な?やましい事なんてしねぇから心配すんな」
なんでかわからないけど自然と車に乗ってしまった。
殺されようが犯されようがどうでもよかったんだと思う。
「俺ん家近いからさ。帰ったらまず風呂入れよな」
他人の運転は酔うのに、この男は酔わなかった。
窓の外をぼんやり眺めながら、車に揺られてた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます