第88話
いつもなら5時を少しすぎた頃に家を出ていくのに今日は6時になっても目を覚まさない新次郎さん。
綺麗な顔に出来ている痛々しい切り傷の手当てと共に額に貼ってある冷却シートを新しい物に取り替える。
彼が完全に寝落ちする前に、普段から自分用に持ち歩いていた頓服薬を飲ませた。って言ってもこれがとても苦戦して─…
『要らねぇよ……信用出来ねぇ』
っという具合に、毒でも盛られると思っているのか頑なに薬を飲むことを拒む新次郎さん。やむおえず…最終手段として、、
『……寝る前に、キスがしたいです』
なんて甘えてみるフリをして、気だるそうに身体を起こして唇を重ねてくれた彼に…口移しで薬を口内へと侵入させて少し強引に飲ませた。
『お…まえっ、、覚えてろよ』
眠りにつく前に、心底鬱陶しい…というような目を私に向けてから…そのまま眠ってしまった新次郎さん。顔色はだいぶ良くなったように見えるが、まだ少し体温が高い。
このまま一人、この家に置いていくなんてことは出来ないと判断した私は…自分の体調が悪い、という嘘を理由に勤務先に連絡を入れて急遽休みを取る事にした。
しかし、どうやらその選択は間違いだったみたいで─…
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