第80話

「紬葵、そのままさっきと同じように…俺の上乗ってくれる?」




それが始まりの合図。いつも身体を重ねる時は基本すべて彼任せで…私が下でいつも新次郎さんが主導権を握って事を進めていた。




後ろから…なんてこともあったけど、こんな風に私が上に乗って主導権を握るような行為は初めてで、、変に力が入ってしまって上手く彼を受け入れることがデキない。




ちゃんとデキないことに焦り始めた私に気がついたのか、、




「……ん、別にゆっくりでいーから。もう今のこの状況に既に興奮してるから、俺。そんなすぐ萎えたりしねぇからさ、ゆっくりでいーよ。」




寝転んだまま手を伸ばしてきて…無防備にさらけ出されたままだった胸に再び新次郎さんの指が触れる。




「……っあ、」



頭の中は上手く交じり合えないことによる不安でいっぱいなのに、身体は敏感に反応してしまって震える。




「……絶景すぎ、、紬葵…お前マジで可愛いな」




震える手で自分のナカに彼を挿れようと必死な私の姿が新次郎さんにどう見えているのか不明だが、、



「あー…ちょっと、俺が我慢出来そうにないからさぁ。最初だけ手伝ってやるから、あとは紬葵がイイように、動いてっ、」




少し余裕の無さそうな表情を浮かべた後、胸に触れていた手を下腹部に伸ばしてきた彼の手によって…あんなに苦労したハズなのにっ、意図も簡単にナカに挿入されてしまい……





勢いよく入ってきた彼の熱に与えられる快感に、身体が仰け反って倒れそうになるのを新次郎さんの腕が支えてくれた。




「はぁ……あー…ヤバっ…自分から誘っといてあれだけど、、これちょっとっ、想像以上にヤバいっ…余計なこと、教えたかも、、」




やり方なんて分からないし、合ってるのかどうかも分からないが…ただ彼を満足させてあげたくて自分に出来る精一杯の動きをしてみせると、、




いつもより余裕を無くしたような、崩れた表情の彼を見ることが出来たので……たまには自分が主導権を握るのも悪くないかもしれない…なんて、思ってしまった。

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