第74話

それから更に一週間が過ぎた。あれほどの大ケガだ……すぐに会えるとは思っては居ないものの、やはりこの家で一人朝を迎えるのは寂しい。




深夜二時になると目が覚めてしまう身体になってしまったのか、真夜中に一人起きてリビングで温かい飲み物を飲むのが最近の日課になりつつある





バイクでやらかした……と言っていたけど、要するに事故を起こしたということだろうか?




「ほんとに、死と隣り合わせ…みたいな生活を送ってるのかな」




少し彼の世界を知ってみたいと思った私は、大きなスクリーンのようなテレビの電源をつけて、自分の登録している動画サイトのアプリにログインし、極道やヤクザというワードが入ったタイトルの作品を適当に選んで観てみることにした。




【死んで詫びろ】


【薬漬けにしてやる】


【沈める前に臓器取り出す】




これはフィクションです。の文字をひたすら探したくなるような言葉ばかり飛び出してきて気が滅入って来た頃─…




「なーに、つまんねぇモン観てんだよ。バカツム」




後ろから突然首を絞めるようにして回された腕に驚いて身体が飛び上がった。

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