第72話

「…で?お前はどーなんだよ。俺が不在のあいだに元カレが接触してくるようなことは無かったか?」




全身、傷だらけなのに…そんな状態で私の心配をしてくれる彼に涙が溢れて止まらない。




「……なに?まさか何かあった?」




眉をひそめて怖い顔をする新次郎さんに、慌てて首を左右に振って否定してみせた。




「そっか……なら良かった。いや焦ったわ…ちょっとバイクでやらかして…目ぇ覚めたらあれから一週間くらい経っててさぁ。あれ以来お前から何の連絡も来てねーし、そりゃ直接会いに来るしかねぇだろ」



「連絡、してくれればっ」



「いやお前、嘘つく可能性あるからな。こーいうのは直接顔みて話し聞くのが一番なんだよ」



「だからって、、」



「あー…うるせぇな、戻るって言ってんだからいいだろ。もう黙って」





頬を撫でていた手を止めて、私の身体を片手で軽く抱きしめる新次郎さん。……少しワガママを言っても許されるだろうか?






「ずっと新次郎さんのことばかり…考えてました」



「……お前なぁ、暇人かよ」



「どこの病院ですか?お見舞いに行っても、」



「ばーか、ここを出たら他人だって言ったよな?」



「心配くらいっ、させてください。」



「心配なんて要らねぇよ…すぐに戻る。お前の顔見たら元気出たわぁ…色んな意味で」




色んな意味で、といって怪しく微笑んだ彼は、、

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