第61話
「…どうしてっ、ここまでしてくれるんですか」
「まぁ色んな女…相手してきたからね。その度に喚かれるからさすがに対応、学んだわ」
なんとも言えない複雑な感情に陥ったものの…元カレとの思わぬ遭遇で鎮痛剤を買えていなかったのでとても助かった。
「ありがとうございます、凄く助かりまっ」
「ってかさ、これ……なに?」
私の右腕を掴み、眉間にシワを寄せる新次郎さんに首を傾げてみせると彼はさらに低い声で続ける
「普通に仕事してて、こんなとこに擦り傷なんて出来る?」
そこまで言われてようやく気が付いた。遥馬に突き飛ばされた時に右肘を地面に打ち付けていた。自分では気が付かなかったが…どうやらそこは擦りむいて血が滲んでいるみたいだった。
「…帰宅途中、転んでしまってっ」
「転んだなら手ぇつくよな?……紬葵、なんかあっただろ?お前どこで何してた?」
ただ顔を見て声が聞けたらそれだけで良かったのに─…新次郎さんは私の想像を遥かにこえるような優しさを向けてくれるから、、
「……泣いてたって、分かんねぇだろ」
甘えてしまいたくなった。堪えきれずに溢れた涙を指で掬いながら、優しく抱きしめてくれる彼に甘えたいと思ったんだ。
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