第57話

夕方になり、ご迷惑をかけたスタッフたちに何度も頭を下げてから退勤する。




職場先を知られているのはマズかったな。まさか直接訪ねてくるなんて予想外だった。




従業員専用の出入口から出て…その足で真っ直ぐドラッグストアへと向かう。生理痛が酷い方なので薬を買い足しておこうと思ったのと…あの家に生理用品があるのか不明なので買って帰ろうと考えていた。





そんなふうに…私の中では昼間に遥馬と遭遇したことなんてすっかり忘れてしまっていたのだが、




ドラッグストアで痛み止めを探している時─…




「はい、ツムちゃんがいつも使ってた鎮痛剤…これだよね?日付的にいま、女の子の日…初日あたり?大丈夫?顔色悪いけど…家まで送ろうか?」



どこから着いてきていたのか、いつも私が使っていた鎮痛剤を手に持って現れた遥馬。驚きのあまり言葉を失う。




「……昼、ちゃんと話せなかったから。病院の外で待ってたんだ。ツムちゃん…もう一回俺とやり直そう?」




……この男は、私に借金を背負わせたということをお忘れなのだろうか?




「無理に決まってるでしょ…警察に、いうつもりなんてないけどさ…遥馬のした事って罪に問われたりするかもしれないよ?」



「ツムちゃんっ、」



「それが嫌なら、もう私に関わらないで…」




鎮痛剤を購入することを諦め、遥馬に背を向けてドラッグストアをあとにした。

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