第55話

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王座を奪還する、という話を聞いた次の日から…女子を悩ませる毎月のつきもの。生理がやってきてしまい、、




家主サマ専用スマホのメッセージ機能を使用し、【女子の日になりました】と宣言して家に帰ってきても身体を重ねることはできない、と遠回しに伝えた。




【了解】と二文字だけ返ってきて…なんとも彼らしい返信に少し頬が緩んだ。既読がついて返信が来るだけで……嬉しい。なんて、、もうそういうことだろうと薄々自分でも気が付いている。




仕事をしていてもたまに彼の顔を思い浮かべることがある。帰ってもソワソワして…最近では寝ることなく起きて待っている日が増えた。




でも─…気づかないフリをする。気づいちゃダメだ、認めてしまったら絶対に…新次郎さんが嫌いなメンヘラ気質な女子になってしまうだろうから





「……長谷川さん、なんか長谷川さんに会わせて欲しいって男の子が来てるんだけど…」




昼休憩のあと、病棟に戻れば主任が慌てて駆け寄ってきて…何事かと首を傾げる。




「真田…って、若い男の子なんだけど…知り合い?長谷川さんに会えるまで帰らないの一点張りで…」




──…真田…?



真田って…まさかっ、、




「………っ、ツムちゃ〜ん!! 」



死角になっていた角から、こちらに向かって走ってくる元彼氏…真田 遥馬を視界に捉えた瞬間、金縛りにあったように身体が硬直して…




「ツムちゃんっ」と言って抱きついてきた彼のことを突き放すことも受け入れることも出来ないまま、ただただ呆然と立っていることしか出来なかった。

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