第51話

しばらくして、再び寝室の扉が開く。寝たフリが通用しないことは分かったのでゆっくりと身体を起こして彼の様子を伺う。




「っお、珍しく起きてんじゃねぇか。あれ?お前明日休みだっけ?」




下着だけ身につけて濡れた髪をタオルでガシガシと拭きながらこちらに歩み寄ってくる新次郎さん。その姿がとてもセクシーで見惚れてしまう。




「…明日は遅番なので朝はちょっとゆっくりです」



「あー…ね、なるほど。なら気兼ねなく紬葵のこと、抱き潰しちゃっていいって訳だ?」




控えめに頷いて見せれば、彼は嬉しそうに笑った




「よかった、いつものツムに戻って。さっきのメンヘラ気質な面倒な女のままだったら出ていくところだった」




なんて、残酷な言葉を述べながらベッドに上がってきた彼は…私の被っていた布団を剥いでそのままキスで唇を塞ぐ。



後頭部に手を回し…空いた方の手で器用にも部屋着を脱がせていく。かと、思いきや手を止めて唇を解放された。




「なにこれ?なぁ…寝る時はブラ着けんなって俺言わなかったっけ?」



奇妙な生活が始まってすぐの頃に、下着を着けて寝ようとした私に、



『寝る時はブラ着けんの禁止。邪魔でしかない…触り心地悪いし、締め付けられたら可哀想じゃんツムのデカぱい』



っという具合に、確かに禁止を言い渡されていた

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