第48話

信号が変わって、歩き出した二人の後ろ姿を黙って見送った。私と一緒にいる時の彼とは違って…暴言を吐いて隣にいる女の子のことを叱りつける新次郎さんを見て、、とても仲がいいのだろうと悟った。




「うるせぇな…さっさと歩けクソガキっ!」




少し離れたところでまだ彼女のことを叱りつけている新次郎さん。言葉は乱暴だけど、その眼差しはとても優しいものだった。




──きっとあの女の子のことが、好きなんだ。




大して長く生きていないし、恋愛経験なんて遥馬との一回きりしかないけど…それでもなんとなく直感で、そんな風に思った。




街で彼を見つけて他人のフリをしても、見つけるのはきっと私だけで…新次郎さんはすれ違ったとしても存在に気がつくこともなく去っていってしまうのだろう。





っと、考えても仕方がないことを思いながら帰宅する足取りはとても重たかった。




今日は会いたくない、なんてそんな風に思ってしまう私はもう既にとんでもなく面倒な女になってしまっているようで…嫌になる。





ピピピ、っと鍵をかざしてすっかり慣れつつある新次郎さんのお家に帰宅すれば…いつも通り自動で電気がパッと明るく光って私を歓迎してくれる




「…私には、関係のないこと」




彼が日中どこで誰と何をシていようと、私はここで彼を待つことしか出来ない。住む世界は違えどここにいる間はお互いのことを求め合える…って新次郎さんがそう教えてくれたから。

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