第44話

「あの、新次郎さん…?」



「…ん、なに?」



「……寝ないんですか?」



「いや?寝るけど?」




力尽きた私のことを背後から抱きしめてくれる彼の手は、飽きることなく私の胸に添えられている




「…フェチですか」



「あー…そーかもね」




それ以上お互い口を開くことはなく、ただ寄り添って互いの肌の温もりを感じながら時が過ぎるのを待った。




どのくらい時間が過ぎたのか不明だが、、少し身体を動かそうと身を捩ったとき…逃がさない、とでもいうようにキツく腕に力を込められて…身動きが取れなくなってしまった。




「眠れないですか?」



「まぁ…お前が起きてるウチは、寝たところですぐに目が覚めるだろーね」



「……どうして?」



「さぁな…そーいう身体になってるから、仕方ねぇんだよ。うっかり気を許した隙にグサッ…って刺されるなんてよくある話だろ?」




──…よく、あることではないよね?

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