第41話
「なぁー…キスマーク、つけていい?」
なんて言いながら私の首筋に舌を這わせ、チュッ…と音を立てて何度も唇を落とす。
「…仕事上、そーいうのが見えるのはあまり宜しくないので…やめていただけますか」
「あー…そう。つまんねぇの」
っと、割と直ぐに引き下がってくれて助かった…なんて思ったのは束の間。
「見えねぇとこならいいってことだよなぁ?じゃあ後でこっちにいっぱいつけるからいいや」
こっち、と言ってさわさわと触れている手に力を込められ「や、やめてっ…」と思わず声を上げてしまう。
「やめねぇー…だっていま、紬葵は俺のモンだから。お前の身体も声もぜんぶ俺だけの紬葵ちゃんだから」
胸に触れていた手を止めて、首元に腕が回されて…そのまま後ろからギュッと抱きしめられた。
「─…相性がいい、って思わなかった?俺を満足させてくれる女ってそう簡単に居ねぇからさぁ…今の俺にとってお前はトクベツ。」
「…とく…べつ?」
「そう、トクベツな存在。いまお前に居なくなられるとすげぇ困る」
それは…欲を発散する相手が居なくなるから困るということですよね?大丈夫、変な勘違いをしたりしません。
「俺がこの家にいる間は─…お前は俺だけの紬葵。逆をいえば俺も、お前だけの俺だから。シて欲しいことがあるなら言え?紬葵のワガママならトクベツ、聞いてやってもいーよ。」
あぁ…どうしよう。いま顔を見られていなくて良かった。きっとどうしようもなく情けなくて紅い顔をしている自覚があるから─…彼に背を向けていてよかった、と心から思った。
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