第35話
一度そんな考えが過ぎると、もうそうとしか思えなくなってきて…マンションへ向かう足取りが無意識に早くなってしまう。
朝、降りる時に確認した部屋の階数は52階。昨日コインランドリーから車で共に帰宅したが…元々私が住んでいた家からさほど遠くない場所で、土地勘はあったので朝も普通に出勤することが出来た。
渡された鍵を使ってオートロックを解除し、エレベーターのボタンを押す際にも鍵をかざさないといけないという、徹底されたセキュリティ
52階へと向かうエレベーターの中で、感じたことの無い緊張感を抱きつつ…開いたドアの先に昨日の二人組みが居ないことを確認して部屋の前まで走った。
ピピピっ、という電子音のあと鍵が開いた音がその場に響いて…一気に玄関扉を開いた。
真っ暗な部屋に、私が侵入したことにより自動で電気がつき始めて…まずそれに驚いたが、、他に人がいるような気配はまるで無かった。
なんだか拍子抜けしてその場で座り込んだとき─…カバンに入れていたスマホのバイブの振動が伝わってきて、慌てて中身をひっくり返して確認する。
──…家主サマ
二台あるスマホのうちのひとつが着信を知らせて光っている。……家に帰ったら通知がいくようになってたり、しないよな?
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