第33話
実家から通っている、なんて嘘をついているものの…実際に最後に家族と顔を合わせたのは一昨年、祖父が亡くなったお葬式の時が最後だ。
医者家系で、父は外科医で母は産科医…二人いる兄もそれぞれ医大を出て研修医として医者になる為の準備をしている。
私も医大を受けるように幼い頃から言われ続けたが─…大学受験に失敗し、父親のコネでなんとか看護の専門学校にギリギリ入学することが出来た。
専門学校を卒業すると同時に家を追い出され、正月以外は顔を見せるな、とキツく言われ続けた。
真面目に勉強しかしてこなかった私の初めての彼氏が遥馬だった。優しく甘えてくれた遥馬に一瞬にして溺れた…彼のためならなんでも出来るって、本気でそう思ってたんだけど─…
「まさかっ、こんなことになるなんて…」
キスも…セックスも。全部遥馬が初めてだった私にとって、昨日の新次郎さんとの交わりは…まさに大冒険のようなもので。
遥馬しか知らない私は、遥馬が基準になってしまっていたわけで…『ツムちゃんっ、』なんて弱々しい声をあげてすぐに達してしまう遥馬とは違って─…
長すぎる愛撫に、縋っても焦らされ続ける拷問のような時間。起きる体力が無くなるまで解放してくれない彼の熱い体温は…今も私の身体に残っていて、思い出すだけで疼く。
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