第21話
「自分より不幸な人間を助けてやろう…なんて、そんな善意が俺にある訳ねぇだろ。お前マジで馬鹿だな?そりゃ騙されるわ」
溜まっていた鬱憤を吐き出すようにして彼に八つ当たりをしてしまった私の顎に、突然新次郎さんの長い指が触れた。
「俺は、金が欲しいんじゃなくて…代わりになる女が欲しかっただけ」
──…代わりになる、女?
お金の"代わり"って意味じゃなくて?一体なんの"代わり"を探していたのだろうか。
「お前さぁ、見たところ─…Fだよな?しかもEよりのFだろ?俺が一番、好きなサイズ」
…………なんの、話し?
「最近、こことは別の場所で大学生のガキの世話してんだけど…その女が巨乳でさ?見てたらムラつくんだよね。俺、性欲強めだからさ」
「あ…あの、それはつまりっ、」
「ん?だから、さっきあの場所でお前を見たとき思ったんだよ─…この女、抱きてぇ…って」
なんだこの人…顔がカッコイイだけで、言ってることはただの変態じゃないかっ、、
「まぁ向こうで囲ってる大学生のガキに手ぇ出したら、シャレになんねぇから毎日耐えてきたけど…ここに帰ってきて紬葵が俺の相手してくれるならお前の生活費くらい俺がいくらでも出してやる」
顎に添えられていた指で器用に私の顔を上に向かせた新次郎さんは、意地悪く笑ってからその整った顔を私に近づけてきて─…ちゅ…っと、ほんの一瞬触れるようなキスをした。
「これは…いまお前が手に持ってる水の代金ってことで。ツムの唇いただきましたーっと。」
──…なんだ、コイツ、、
なんなんだ、この人っ…おかしいって分かってるのに…どう考えてもこんなの間違ってるって頭では理解出来てるのに、それなのにっ……
なんで、こんなにドキドキしてるの…私っ。
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