第20話

「マジで、何も持ってねぇんだな…お前」



馬鹿にされたというより、なんだか嬉しそうに笑った彼は…キッチンから再び私の元へと歩いてくると、、




「いーじゃん、何もないなら俺が全部買い揃えてやる」



「……え、それってどういうっ」



「俺好みの服、下着、部屋着─…カバンも財布も髪留めも化粧品も…全部俺が選んで揃えてやるから─…紬葵はそれ使って生活しろ。」



「…でも私、いまお金持ってなくて、、次のお給料が出るまでの間…少しお借りしても、」



「話の通じねぇ女だな。自分より稼ぎの少ない人間、しかも女から…金をせびるような狡い男に見える?生憎、金には困ってねぇんだよ─…ってこの話、さっきもしたよな?」




お金に困ってないから無償で私に色々提供してくれるってこと?…なんだ、そのボランティアみたいな精神は。とても理解できない。




「…私が哀れだから、同情してっ…ここまでしてくれるんですか?」



「……は?」



「彼氏に騙されてっ、家も無くして…急にお金返せって追いかけられて……逃げ出して。馬鹿で惨めな女だって…思ってるんですよね」



「まぁ…男見る目ねぇな、とは思ったな」



「自分より不幸で可哀想な人間だから、助けてあげようって…そんなボランティアみたいな気持ちなら、要らない、、」




「─…あれ?お前、なんか勘違いしてない?」




……勘違いだって?

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