第19話
緊張しながら新次郎さんの目の前まで行くと、彼は四角い形をした何かを私の手に握らせた。
「これ、この部屋の鍵。大事にしろよ?」
こんな軽量なプラスチックのようなものが家の鍵なんて…私が世間知らずなだけなのか?
ジーッと手のひらの中にある鍵を眺めていると、目の前にあった新次郎さんの気配が無くなったことに気がつき慌てて顔を上げた。
広い部屋の中でひときわ目立つオシャレなキッチンに足を進めた彼は…扉が鏡のようになっている冷蔵庫を開いて中からミネラルウォーターを一本取り出した。
キャップを開けてゴクゴクとそれを喉に流し込む姿は…妙に色っぽくて目をそらすことが出来なかった。
「…んだよ、飲みてぇの?」
飲みかけのペットボトルのキャップを閉めて、それをこちらに向かって投げつけてくる新次郎さん。反射的にキャッチしてしまったが…これを飲むことには少し抵抗がある。
「……お金、払います」
小銭くらいなら持っている、っと思ってからすぐに…カバンをヤクザ2人組に投げつけたことを思い出した。
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