第16話

コインランドリーから出て、駐車場に停められていた黒塗りのセダンに乗るように言われ…どの席に座ればいいか躊躇い迷っていると、、



黙って運転席の後ろの後部座席のドアを開けた新次郎さん。乗れ、っと目配せしてきたのでお辞儀をしてから車の中にお邪魔させてもらった




その後すぐに自身も運転席に乗り込むと─…




「じゃ、このまま俺ん家連れて帰るけど…いいんだよな?お前のこと、俺が囲っても」



ここにきて私に選択権を委ねてくる彼は…根はいい人なのかも、しれない。



「……他に行くところも、お金もないので、、一緒に連れて帰ってもらえると有難いです」




──…疲れた、ものすごく。



今すぐ横になって眠りたい。その場所を提供してくれるというこの人の手を取らずして…今を乗切る方法なんてきっと他には見つからない。



後悔なんてしない、自分で決めたことだから。




「あぁ…そ。じゃあ目ぇ閉じて少し寝てろ…っつってもすぐ着くけどなぁ」




静かに走り出した車内…乗ったことがなくても車体前方についていたエンブレムで高級車というのが分かった。




革張りのシートが少しだけ冷たいが、今はそれが心地よかった。窓は特殊な加工が施されているのかスモークがかかっているみたいに暗くて、周りの景色を眺めることは出来なかった。




「ん、着いた─…降りろ」

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