第9話

「逃げても無駄だって、分かるよな?彼氏も家も失って行くとこないんだろ?借りた金、返してもらうまでしっかり世話してやるからさぁ…とりあえず一回ついてこい。話しはその後だ」




お世話をされるって…一体何をされるのだろう?一回ついて行くってなに?その後本当に帰らせてくれるの…?




何にせよ、ここでする話ではないことは確かだ。見つかった以上…大人しく言うことを聞いておくのが正しい選択だろう。




震える足で何とか立ち上がり、気味悪く笑う男二人について歩き出そうとした時だった。





「─…どーでもいいけどさ、誰の許可とってウチのシマで好き勝手してんの?」




一部始終、聞いていたと思われる先程の男性が再び私と二人組の間に入って場を仕切り始める




──…ウチのシマ、



っというワードが飛び出した瞬間…目の前の二人組の顔つきがガラッと変わった。ヤバい、みたいな…そんな焦り顔に。




「ア、アンタもしかしてっ、辰弥たつみ会の若頭補佐っ、、」



「今更?気付くのがちょっと、遅かったね。聞いたからには見過ごせねぇな。その話、俺にも詳しく聞かせてよ」




二人組は顔を見合わせて…さっきまでの横暴な態度とは打って変わって低い姿勢で気まずそうに語り始める。

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