第40話

思わず耳を疑ってフリーズしていると、くしゃっとお固いポーカーフェイスが崩れて腹を抱えて笑い出した。




 

「冗談はさて置き、ヤクザもこの肩身の狭い世の中で、ただシノギだけで運営は出来ないんだな。だから会社の経営もしてるんだけど、意味分かる?俺一応社長だから。」



「ごめん、情報量が多すぎて処理しきれない。」



「だろうな....で、俺がここに来た理由は、お前が危ないって話をしに来た。」




 うん。今わたしヤクザを目の前にする一般人だよ。後ろの強面の所為で足元ガクガク震え上がっちゃってるんですよ。



 お前さえ来なきゃ、危険な想いをせずに済むんだけどな....。


 てか、社長って....詐欺会社か何かを経営しているのでは?





「俺の存在を良く思ってない他の組の連中が、杏を攫うかもしれねー。」



「....。?」



「だから、四六時中俺の側に居ろ。」



「ごめん、よく聞こえない。」



「だから、お前は会社辞めて俺と半永久的に過ごせばいいんだよ。」





 何を言い出すかと思えば、




「ふざけるな!!私を巻き込みやがって、糞野郎が。」






 沸々と湧き上がる怒りに身を任せ、思い切り奴の顔面を打ん殴ろうと腕を構えて振り落せば、それは難無く受け止められてしまい、そのまま詠斗の上に倒れ込んだ。

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