第7話

こんな不快な想いをするなら、無理してでも二次会に参加すればよかったと後悔する。




 今夜は誰とも出来ないし、キモい男に絡まれて、最悪以外に言い表す事が出来ない。





 視界に入ってきたナンパ男は、「顔色悪いね、休憩出来る場所行く?」と案の定不細工である。そしてホテルに連れ込む気満々で、私の肩に手を回そうとしてきたのだ。







「触らないで!」





 酔ってひ弱ながらも、その腕を振り払おうと叫んだ時、











ーーーーーー「誰の女に手出してんだ。」







 恐ろしく低い地鳴りの様な声が正面から聞こえてきて、思わず身体がビクッと震えだす。その声に動きが止まったしまった。





 




「す、、、すみませんでした!俺知らなくて、」





 真横のナンパ男は、私からすぐに距離を置くと、慌てた様子で逃げ去ろうとする。




 だけれど、ナンパ男の逃走も....










「言い訳は要らねーよ。処刑だ。」









 何処から湧いて出てきたのか分からない。黒尽くめの男二人に取り押さえられたナンパ男は、ズルズルと両側に腕を回されて、引き摺られる様に連れ去られてしまった。





 そんな光景に呆気に取られて、その場で立ち尽くしていると、やっと目の前に現れた男の顔を見上げた。










・・・え、嘘でしょ⁉︎







 やけに高い身長、艶やかな黒い髪、そして同じく黒い瞳に吸い込まれそうになる。




 それはつい先週、童貞喪失した美男子....。



 少し着崩された高級そうなスーツ姿で私の前に現れた。







「探したぞ、杏。」













 えーっと、何故教えた覚えの無い私の名前を知ってるの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る