第79話

『よし、できたー!』


それなのに、渡せるかも分からないクリスマスプレゼントを用意している自分がいた


毎日寝不足になりながら作り上げたパーカー


少し派手好きの冬弥の好みに合うように、スワロを取り付けた


『久しぶりに丸々一着作ると疲れるなぁ…』


ミシンの前で伸びをして出来上がったパーカーを眺めた


喜んでくれるだろうか


やっぱり買ったほうがよかっただろうか


むしろ渡せるのだろうか


まだ先の話なのに、そんなことばかり考えてしまう


最終チェックをしてラッピングを施す


ミシンと一緒にクローゼットの中にしまいこんだ



深夜2時、メッセージが届く


《寝てるよな?今日は連絡できなくてごめん。 Toya》


どんなに遅くても必ず一回はくれる連絡


それが私のためだと思うと、愛おしくなる


《お疲れ様。毎日連絡ありがとう。 友梨》


《夜ふかしは美容の大敵。 Toya》


《色々やることあったの。 友梨》


《仕事? Toya》


《まぁそんな感じかな。 友梨》


《そっか。友梨もお疲れ様。明日は撮影で地方。早く会いたい。 Toya》


本当に毎日大変そう

何もしてあげられないことがもどかしい


《私も会いたいです。 友梨》


その一言さえも、送るのをためらわれる


《会えるの楽しみにしてる。 友梨》


ただ負担になりたくない

無理して欲しくない


その一心だった

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