第70話

その後もしこたま飲んだマリーさんは、テーブルに突っ伏して眠ってしまった


『マリーさん、マリーさん』


「ん、んー…」


全然起きる気配がない


どうしたものかとトイレに立つと、自分も結構酔っていることに気付く


『飲み過ぎた…』


バックを持ってトイレを探す


やっとの思いで見つけたトイレ


個室に入っていると、キャッキャとした声が入ってくる


「ね、冬弥くるらしいよ!」

「やばーい!念入りに化粧しとこ!」


その声に、私の酔いが冷めていく


冬弥が来る前に店を出なければ


何となくそう思ってしまった


「ね、冬弥きたよ!」

「うそ!早すぎ!」

「早く早く!」


本当に早すぎだよ


どうしてこういつも偶然が重なっちゃうかなぁ


とにかく見つからないようにマリーさんを連れて出て行こう


そう決めてトイレからこそこそとマリーさんの元へ戻る 

『マリーさん起きてください』


「んー…やだぁ…」


『マリーさん』


揺さぶっても声を掛けても目を開けないマリーさん


お会計はどこでするんだろう?


そんなこともわからなくて途方に暮れていると、隣の個室と思われるところから、冬弥の声が聞こえてきた

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