第51話

「あー、疲れたぁ…友梨お疲れ!」


『ん、お疲れ様。帰ろっか』


夕方の6時

仕事が終わって1日の疲れがどっと肩にのしかかるようだった


「疲れてるね。あたしのウェディングドレスのデザインとか、プライベートのごたごたで疲れてるか」


『まぁね。岩盤浴でも行こうかなぁ』


「あ、いいねぇ。あたしも付き合う」


『本当に?隣の駅にあったよね?』


「あたし割引券もってるよ」


『ラッキー♪』


岩盤浴で汗を流してリフレッシュ

ウキウキしていたところで、私のスマホが鳴った



「お?あの人か?」


ジャケットのポケットからスマホを取り出す

登録されていない携帯番号が表示されていた


『もしもし?』


「あ、もしもーし?」


電話口の声を聞いてすぐに誰だかわかった


『マリーさん?』


「今からって時間あるかしら?」


『えと…デザインのことですか?』


「そうなの。雑誌の撮影現場にいるんだけど来れる?」


私は真希にごめんと目配せした


真希はオッケーと合図して笑顔を見せた


『わかりました。撮影現場どこでしょうか?』


マリーさんは撮影現場のスタジオを告げて電話を切った


『ごめん真希、今日無理だわ』


「あたしも行くよ」


『え?いいの?』


「もちろん!」


『…ありがと』


真希の目当ては仕事ではなく現場


わかってはいたけど口には出さなかった


『じゃあ行こう』


撮影現場なんて1人で行くのは心細かったし、真希が来てくれるなら理由は何でもよかったからだ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る