第49話

向かい合って座ると、マリーさんはさっさと自分のイメージを伝えてきた


私はその言葉に合わせてペンを走らせた


意外だった


コラボ企画なんて、1つ2つポイントで要望を告げてあとはこっち任せかと思っていた


でもマリーさんは、ボタンや素材の細部に至るまで1つのイメージを告げた


「どうかしら?」


『さすがですね。このイメージだと、大人可愛いって感じですかね』


「そう!大人だって可愛くっていいじゃない!っていうのがほしいの!」


マリーさんと言えば、大人なモデル

ファン層も若い子よりも私くらいの世代が多いはず


「ねぇ、あたしのイメージってどんな?」


『そう…ですね。やっぱり大人な女性ってイメージですかね』


「可愛かったらいけないかしら?」


『え?』


何だか切なく見えてしまったのだ

いけないの?と聞いた表情が、まるで少女のような瞳をしていた


「あら、ごめんなさい。それにしても、一ノ瀬さん。あなた本当に美人ね?スタイルもいいし、モデルになればよかったのに」


『と、とんでもないです』


実際のモデルさんと私なんかじゃ月とスッポンの違いだ


「仕事の合間でも、呼んだら来てもらえる?」


『はい、もちろんです。マリーさんからご意見たくさん頂けるとこちらも助かります』


「…よかった。じゃあそのときは一ノ瀬さんに電話していいかしら?」


『あ、はい。では携帯の番号伝えておきますね!』


真希が言ってたようなことは何も感じられなかった


「あたしこの会社の服は好きなの。だからコラボ企画成功させたいわ」


『頑張りましょう』


むしろいい人じゃないかと思えるくらいなのに、どうしてネットにそんなこと書かれるんだろう

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