第43話

真希と居酒屋で軽く飲んで家路につく


明日からまた仕事だと思うと憂鬱になる


『寒くなってきたなぁ…そろそろ衣替えするかぁ』


そんな独り言を呟きながらマンション10メートル手前で鍵をバックから出す


マンションを見つめて思わず鍵を落とした


「あ、友梨。おかえり」


マンションの前に、誠二がいた


『何してんの』


「いや、謝ろうと思って」


予想していなかった言葉が出てきた


「あの時…一言も謝れてなかったし。本当にごめん」


深々と頭を下げる誠二


『別に今更謝ってもらわなくてもいいよ』


騙されちゃいけない

さっきだってそんなに酷いことしたつもりないみたいな感じだったし

心から反省なんてしてない


「今思うと本当に最低なことしたよね」


『え?』


「俺も若かったんだよね…だからって許されることじゃないけどさ」


『そうだね』


「友梨が二度と会いたくないって思うのも当然だよ」


『そう思うなら、』


「やり直したい」


耳を疑う言葉

本当に反省してる人が言う言葉?


『は?』


「だって友梨、ますます綺麗になってるし」


やっぱりこいつは全然変わってない


『バカにしてるの?』


「してないよ?そんなにいけないこと?」


『当たり前でしょ。さようなら』


誠二を無視してマンションに入ろうとすると、腕を掴まれた


「綺麗だから好きってそんなに悪いこと?」


即答できなかった

確かに悪いことじゃないとは思う


でも…


『わ、私は嫌なの!見た目だけの好意なんていらないの!』



言い切ったところで電話が鳴った


誠二の手を振り払って部屋に駆け込んだ

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